〈もやい〉では現在11名の有給スタッフが業務を担っており、この「おもやい通信」にもそれぞれのスタッフが担当業務に応じて活動の報告記事などを執筆しています。でも、一人ひとりの人物像が読者の方には伝わっていないかも?
このコーナーでは、スタッフ個人を知ってもらうことを目的として、スタッフが〈もやい〉以外でやっていることを紹介したり、日々思っていることなどを発信していきます。不定期連載です(たぶん)。
ー編集部より
気温36度。半袖、短パンで人々が歩くなか流れるクリスマスソング。2022年の12月、
わたしはパラグアイの首都アスンシオンの煌びやかなショッピングモールにいました。
どうも、〈もやい〉スタッフの田中です。
さて、今回なぜわたしがパラグアイに行ったかというと、
JICAと障害当事者団体との協働事業で障害者の自立生活のコンセプトを伝える
交流プログラムがあり、その研修に介助者兼記録係として同行することになったためです。
障害者の仲間たちと映画『インディペンデント・リビング』を製作していた頃から、
時折ヘルパーとして働きながら、「自立生活運動*」という障害者の当事者運動を
映像で記録しています。
そんな経緯もあって昨年末はパラグアイに、今年の2月にはカンボジアに研修で行ってきました。
中南米では、コスタリカの自立生活センターが中心となって、
「Re-lavin」というネットワークをつくり、自立生活運動の展開に取り組んでいます。
この「Relavin」に参加している10カ国が、12月3日の障害者の日に、
日本から障害当事者を招き、障害者の地域生活の実現をアピールするセミナーやイベントを開催しました。
パラグアイでは、首都アスンシオンを中心にいくつかの町に訪問したのですが、
イベントの一環でビジャリカという町でマーチがありました。
記憶に残っているのは、現地の車いすが日本ではもう誰も乗っていないような
古くて重たいものであったことや、本来車いすを使うような障害の子どもが
歩行機でマーチに参加していたことです。
舗装も十分にされていない道を自走で、あるいは人の手を借りて行進していきます。
また別の日に訪れた障害当事者のお宅でもやはりバリアフリー環境や車いすの話になり、
「電動車いすに乗ることが夢だ」と目を輝かせながら話す若者の表情が印象的でした。
中南米の中でも経済的に豊かな方ではないパラグアイでは、
インフラ設備も介助派遣などの社会保障制度もまだまだ十分につくられていない状況です。
一方でこれから社会をつくっていこうというポジティブなエネルギーにあふれた人たちとの
出会いがたくさんあり、かつての日本の運動でもこのような時期はあったんだろうなあと、
運動の来し方や行く末について考えさせられました。
そしてこれからパラグアイがどう変わっていくか、いつかまた帰ってきて、見てみたいと思いました。
帰国してからすぐに、そんなパラグアイ訪問の記録を30分の映像としてまとめ、
JICA関連の報告会にて上映しました。
一般公開はしていないのですが、折りをみて〈もやい〉でも上映報告会などできればいいなと思っています。(田中)
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*自立生活運動とは、「重度の障害があっても施設や親元でなく、地域で自分らしく暮らすこと(=自立生活)」を求める運動。(「自立生活」のコンセプトについては〈もやい〉の活動にも通底しているという話もいずれどこかで…)。