認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい

メニュー閉じる
閉じる

もやいブログ

2023.3.14

お知らせ生活相談・支援事業お役立ち情報おもやいオンライン広報・啓発事業

【連載】生活を支えるためのお役立ち情報(保存版)〜第4回 自立に向けた世帯分離措置〜

 生活相談・支援事業の結城です。今年も生活を支えるためのお役立ち情報の連載は続きます。
年度の変わり目が近づいており、忙しくされている方も多いのではないかと思います。
なかには、お子さんが学校を卒業して仕事を始めるという方もいらっしゃるかもしれません。

貧困の連鎖を避けるために

 通常であれば収入があれば保護の支給額が調整され、
基準を越える収入があるときには保護が廃止となります。
しかし、それでは一向に子どもは保護世帯から抜けることができないか、
親を経済的に支援してひとり立ちができなくなってしまいます。
これでは親から子へと、貧困の連鎖が続くことになりかねません。

 こうした事態を避けるために、生活保護制度では「世帯分離」という措置があります。

 生活保護では、世帯を単位として保護が適用される「世帯保護の原則」があります。
ここでいう「世帯」とは住民票上の世帯などとは関係なく、
実質的に生計を一にしているかどうかで判断されます。
例えば親子で同居して生活している場合には、
たとえ住民票上は別世帯でも同じ世帯として保護の対象となります。
「世帯分離」というのは、同居していても例外的に
特定の世帯員だけを別世帯とみなして保護の対象から外す措置のことです。

卒業して自立する時にも

 上記のように子が学校を卒業して働き始める場合でも、世帯分離ができる可能性があります。
生活保護の実施要領局長通知第1-2-(7)では、「同一世帯員のいずれかに対し
生活保持義務関係にない者が収入を得ている場合であって、結婚、転職等のため
1年以内において自立し同一世帯に属さないようになると認められるとき」は
世帯分離をしてもよいこととなっています。
つまり、1年間を限度に子どもだけ保護の対象から外れ、自分の収入で生活しつつ、
転居するためのお金を貯めたりすることができるようになります。
実施要領に書いてあるように、結婚や転職の場合でも同様です。

 以上は世帯分離措置のひとつの例ですので、他にも世帯分離ができる場合がいくつかあります。
かなり複雑な条件があったりするので、
気になる方は〈もやい〉や福祉事務所のケースワーカーにご相談ください。
今回は世帯分離措置の一例を紹介しましたが、
この他に比較的よく知られた例としては、子が大学進学する際の世帯分離です。
生活保護制度利用中は大学に進学することが認められていません。
そこで、保護の対象から1人だけ外すことにより、大学進学ができるようになります。
では、4年生大学などと違って、通信制や夜間大学についてはどうでしょうか?
通信大学等についても保護利用中は進学できないのか、
まただとしたら世帯分離ができるのでしょうか?
次号はこの問題について解説します。(結城)

QUIZ.
今回は世帯分離措置の一例を紹介しましたが、
この他に比較的よく知られた例としては、子が大学進学する際の世帯分離です。
生活保護制度利用中は大学に進学することが認められていません。
そこで、保護の対象から1人だけ外すことにより、大学進学ができるようになります。
では、4年生大学などと違って、通信制や夜間大学についてはどうでしょうか?
通信大学等についても保護利用中は進学できないのか、
まただとしたら世帯分離ができるのでしょうか? 
次号はこの問題について解説します。

=============================================================================

前回のQuizの解説
  この前のQUIZは、次の場合に生活保護制度上では収入認定になるのかという問題でした。
 ①民間団体の食料支援のなかで、地域で使える商品券(300円分)をもらった
 ②特定のチェーン店で使えるメンバーカードのポイント
 以上の2つについては、原則として収入認定除外となると考えられます。
 「生活保護手帳別冊問答集2022」の問8-29-2に、商品券や電子マネー、ポイント等の取扱いについての定めがあります。まず、原則として「現金と同様に使用できるもの」は現金と同じく収入認定の対象となります、ただし、贈与等で「社会通念上収入として認定することを適当としないもの」はその限りではありません。そのため①は認定されないことが一般的です。また、「商品の購入の際に付与されるポイント等、店舗や企業の割引やサービスの一環としての性格を有するものについては、収入として認定しないこととして差し支えない」とされているため、②も基本的には収入としてはみなされません。ただし、いずれの場合も収入として認定しないというだけなので、収入の申告自体は必要です。

最新の記事を読む

一覧を見る