2020年9月にスタートした〈もやい〉のシェルター事業は、この9月で2年を迎えます。
当初は試験的にマンスリーマンション3部屋の借り上げから始まった事業ですが、
2021年度には一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)による
新型コロナウイルス対応緊急支援助成金(休眠預金を活用した助成金)および
認定NPO法人抱樸の「支援付き住宅」にかかる助成を受け、
アパートおよびマンスリーマンションの計9部屋を運営してきました。
助成期間の終了した今年度は部屋数を減らしていますが、5部屋の運営を続けています。
事業開始からこれまでの間に27名の方がシェルターを利用し、
うち20名の方がご自身名義のアパートへ転居していかれました(7月末現在)。
入居者は10〜70代と幅広く
〈もやい〉のシェルター事業は決して規模の大きいものではありません。
しかし、入居者の年齢は10代から70代までと幅広く、多様なケースがあり、
どのような方がシェルターを必要としているのか、
また、どのようにしてアパート生活へ移行していくのか、
ということについての経験の蓄積は意義のあるものだと考えています。
このたび、こうした活動の記録について「シェルター事業報告書」というかたちで
とりまとめを行いました。報告書には、事業を始めるに至った背景、
シェルター入居者の方のデータやアパート入居までの足どり、
福祉事務所のケースワーカーや他の支援団体からの意見などを盛り込んでいます。
ホームページで全文公開していますので、ぜひご覧ください。
厚労省に必要性うったえる
〈もやい〉では毎年、厚生労働省に対し生活保護制度に関する要望書を提出しています。
今年はこれとあわせて「シェルター事業報告書」もお渡しし、
公的なしくみとしてのアパート型シェルターの必要性をうったえました。
https://www.npomoyai.or.jp/wp-content/uploads/2022/10/b1501ab1d82e7d20cbf18c7917dba1f5.pdf
現在の日本社会では、一度住まいを失うと再びそれを取り戻すために
超えなくてはいけないハードルが多くあり、そのためにホームレス状態に
留め置かれてしまっている方が多くいます。
〈もやい〉では、アパート型シェルターはホームレス状態からのアパート移行を
サポートする有効な選択肢であると考えています。実際に入居後2〜3か月で必要な手続きを整え、
アパート生活へ移行していったケースも少なくありません。
現場でのニーズは高く、シェルター事業に取り組む支援団体は増加傾向にあります。
ただ、運営にかかる負担も大きいため民間の団体だけで十分な部屋数を確保することは難しく、
物件の内容も様々です。
シェルターを必要とする人が等しく利用できるようにするためには、
アパート型シェルターが公的なしくみとして社会に実装されていくことが必要であると
〈もやい〉は考えています。今後も現場での活動を続けながら
シェルターの必要性・有効性を広くうったえかけていきますので、
引き続きみなさまのご支援をいただければ幸いです。(東)