新型コロナウイルスの感染拡大にともない、
収入が減少したり、住まいを失う方が増加してきているなかで、
〈もやい〉では4月より、新宿ごはんプラスと協同で週2回の面談と電話での相談を行っています。
ここで、4月中の相談活動について、簡単な報告をさせていただきます。
相談件数
◉面談(火・土):110件
生活相談の面談件数は平時より増加していますが、
新型コロナウイルスが感染拡大しているなか、大幅な増加はしていません。
しかし、とくに土曜日の相談は日に日に増加しており、
〈もやい〉に初めて相談に来た人が大半となっています。
◉電話(火・金):186件
電話相談は平時より増加しており、とくに新型コロナウイルスの関連で仕事や住まいを失った方や
住居確保給付金や生活保護制度などの公的制度について知りたいという方からのご相談が多く寄せられています。
相談内容
新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、東京で起きていることを多くの方々に
知っていただくためにも、この1か月間に〈もやい〉を訪れた方々の相談内容について、
いくつかご紹介したいと思います。
なお、以下の内容は個人が特定されうる情報をはぶき、
かついくつかの相談内容を組み合わせたものとなります。
●ネットカフェ等で寝泊まりしながら派遣労働やテレホンオペレーターの仕事をしていたが、
仕事を切られ、生活できなくなった。●ネットカフェ等で生活していたが、新型コロナウイルスの影響で
観光業関連の仕事(清掃など)が減少した。他の仕事を探したが見つからずお金がなくなった。●イベント警備などの仕事をしながらマンガ喫茶等で寝泊まりしていたが、
イベント自体がなくなり警備の仕事もなくなってしまった。●いつも使っているネットカフェが休業になって居場所を失ってしまった。
仕事も減ってホテルなどに泊まることも難しく困った。●アパートに住んでいたが、キャバクラの店が休業になってしまい、
収入が減少して家賃が払えなくなってしまった。●食品の販売とイベント関連の事業を経営していたが、
新型コロナウイルスの影響で仕事が減少して困っている。●音楽関係の仕事とバイトで生計を立てていたが、
収入が減少して生活が成り立たなくなってきた。
以上のような相談内容には、いくつかの特徴があるように思います。
4月の段階でお困りになって〈もやい〉にご相談においでくださった方々は、
多くの場合やはり派遣やアルバイトなどの非正規の仕事をされており、
経済活動が縮小したときに真っ先に影響を受けているものと思われます。
また、雇用の形態だけでなく、仕事の業種や産業についても特徴があるように思います。
イベント等にかかわる仕事、観光業にかかわる仕事、性産業、文化産業といった領域で
仕事をされている方々が真っ先に影響を受けているとみられます。
なお、こうした状況のなかで自治体の窓口に行って相談しても、
人格を否定するようなことを言われたり、アパートを追い出されて
住まいを失ってから来るように言われたという方もいらっしゃいました。
制度自体が整備されていても、窓口で不当な対応をされることにより、
さらにお困りになる方がいることは大きな問題だと思います。
今後について
4月の段階ですでに数多くの相談が寄せられています。
また、この間にサービス業だけでなく建設業界や製造業においても
経済活動を縮小する動きが出ているほか、影響が長期化していくことで、
安定した職についていた人も含めてより多くの方の生活に影響が出てくるものと思います。
こうした状況において、国や東京都はさまざまな対策を取り始めていますが、
残念ながら抜本的な対策が取られているとはいえず、また窓口でのいわゆる「水際作戦」も
以前にもましてひどくなっている印象を受けます。
日々の相談活動に加えて、こうした制度の問題についても、取り組んでいく必要を感じております。
また、東京都など大都市ではネットカフェ等で寝泊まりしていた方の一部が
都の借り上げたビジネスホテル等に滞在しています。あるいは生活保護を申請した方で、
各種施設等に一時的に入らざるを得ない人もいます。
こうした方々がアパート等に入居したいと考えたとき、入居費用や連帯保証、
入居差別といった問題が現れてくることと思います。
一方で、こうした課題に対する具体的な対策は国や都から今のところまだ示されていません。
これらの課題を見据えつつ、私たち〈もやい〉は、感染症対策を徹底しつつ相談活動を続けていきたいと思いますので、
引き続きご支援・ご協力のほどよろしくお願いいたします。