2019.12.16
署名の呼びかけ:「2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催にともなう野宿者や安定した住まいをもたない生活困窮者への対応について」の提言
私たち認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいは、国内の貧困問題に取り組む団体として、生活困窮された方や社会保障制度を必要とされている方への相談・支援をおこなっています。
安定した住まいをもたない人が不利益を被らないために
2020年の東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)の開催が近づいておりますが、この度、私たちは大会組織委員会会長、日本オリンピック委員会会長、そして東京都知事に対して、東京五輪の開催が安定した住まいをもたない人びと(野宿者、ネットカフェ難民など)の生活に悪影響を与えることのないように対応を求める提言を提出します。
提言書の提出は2020年4月15日を予定しておりますが、これに先立ち、国内外の人びとに広く問題を周知し、賛同を得るために2019年12月16日より署名活動を行います。
ぜひ、みなさまにも提言書をご覧いただき、賛同される方にはご署名にご協力いただきたいと考えています。
提言書本文はこちら
署名はこちら
提言の要点
提言書の詳細については本文をご覧いただければと思いますが、要点をここでご説明したいと思います。
東京都内には野宿をしていたり、ネットカフェで寝泊まりをしている人が少なくとも5000人以上いると言われています。こうした安定した住まいをもたない人びとは、仕事に出向いたり、さまざまな支援を利用したり、それぞれの場所でコミュニティを築いたりしています。したがって、路上やネットカフェ等は単なる寝場所ではなく、それぞれの生活に埋め込まれた拠点としての意味合いを持っています。
東京五輪の開催に際しては、その開催期間中・前後にわたって、さまざまな交通規制が敷かれたり、たとえば「テロ対策」などの理由により公共空間の利用が制限されることが見込まれます。また、低廉なホテルやネットカフェ等についても宿泊/利用料の高騰や混雑により、行き場を失う人が現れると考えられます。こうした事態が現実となれば、安定した住まいをもたない人びとの生活にとって多大な悪影響を与えることになります。
東京五輪を開催するのであれば、その憲章やオリンピズムの主旨に立ち返り、安定した住まいをもたない人びとが不利益を受けることのないよう、対策を考えるべきではないでしょうか。多様なバックグラウンドをもつ人たちがいることを踏まえて、当事者と協議をして荷物を安全に保管したり、一時的な代替地を確保したり、あるいは希望する人が大会前や大会中にアパート等にすぐに入居できるような方策を考えることを強く要請します。