認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい

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もやいブログ

2019.12.14

入居支援事業おもやいオンライン

アパート入居のお金事情 ~昔より増える自己負担~

 生活保護を利用している方が新たにアパートに入居する際*1、
福祉事務所の許可を得てアパート探しを始めるケースが多くあります*2。
後述のとおり、入居にあたり福祉事務所から一定の「一時金」は支給されますが、
自己負担も発生することが大半です。
 また施設暮らしを避けるため、手持ちのお金でアパートに入った後に
生活保護を申請したいという方も多く見受けられます。
手持ちと初期費用の額を見比べて、入居のタイミングを決める方も少なくありません。

初期費用って何?

 アパート入居時にかかる初期費用には様々な項目があります。
敷金・礼金・前家賃・管理費、火災保険の保険料(←これ大事!!)、
不動産業者の仲介手数料(家賃1か月分+税が上限)、
そして多くの場合に生じる保証会社の保証料(概ね家賃の30~100%)。
さらには害虫駆除代やカギ交換費用、
最近では24時間駆け付けサービス(1.5万円前後)が
必須になっている物件も少なくありません。
敷金や礼金がゼロという物件もあるため幅はありますが、
金額としては「家賃の4~6か月分」の準備が目安となります。

自己負担はどのくらい?

 すでに生活保護を利用している場合、
「入居のための一時金」が支給されます。
地域により計算式は異なりますが、
〈もやい〉への相談が多い1都3県では、
住宅扶助の上限額(東京都の場合53,700円)の5.2倍が
上限額(家賃は除く/東京都の場合279,200円)となります。
ただし、共益費(管理費)や、前記の消毒代や駆け付けサービスなどについては、
役所から「一時金」として給付される項目には入っていませんので自己負担となります。

 地域による差異も見逃せません。
カギ交換費用は、東京では福祉事務所に請求できるしくみがあります。
東京都では「被保護者自立支援促進事業」の枠組みの中の
「地域生活移行支援」という名目で上限2万円(税込)を支給できるのですが、
埼玉や千葉にはこれにあたるしくみがなく、必ずしも支給が認められません。
 先日、就職のために千葉県のアパートに入居された方(生保受給者)は、
管理費・カギ交換費・駆け付けサービス費用として3万円以上の自己負担を求められました。
近くへの引越しが就職の条件だったため何とか工面されていましたが、
引越&就職で細々とした出費もかさみ、さらなる節約生活を余儀なくされています。

 家具什器費も支給されますが、
地域によってはこの支給費で洗濯機や冷蔵庫を買うことが認められません*3。
この2つは「健康で文化的な最低限度の生活」には不要と解釈されているのでしょうか……。
 アパートに入居することで、安定した生活を取り戻したい、
社会復帰への足掛かりにしたいという方が多く相談に来られます。
その実現をサポートするために〈もやい〉に何ができるのか、
そしてそのためにも行政に何を働きかけるべきなのか、
引き続き取り組みを進めてまいります。(土田)

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*1 住まいがない状況で生活保護利用を開始し、
一時的に施設等に入所し、その後アパートに移ることになった場合、
あるいは役所から転宅を求められた場合等が当てはまります。
*2 許可を得る前に自分から申請することもできます。
*3 厚労省は家具什器費での洗濯機や冷蔵庫の購入について、認めているのですが…。
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