〈もやい〉ではこれまで、さまざまな角度から貧困問題について明らかにしようとする調査・研究に協力し、ときに自ら調査を行ってきました。本記事では明治大学の小関隆志准教授が中心となって行っている「金融排除/包摂」研究についてご紹介したいと思います。
なぜ金融排除?
小関さんは2016年度から「金融包摂による生活困窮からの脱却可能性」というテーマで科学研究費を取得され、日本における金融排除の実態調査を行っていらっしゃいます。
金融サービスは生活困窮の原因となることもありますが、生活困窮状態からの脱却においても重要な役割を果たしうるものです。しかし、小関さんらによれば、日本ではマイクロファイナンスのような金融サービスの構築を考えるにあたり必要な基礎的データが不足しているため、社会的弱者世帯の収支と資金管理の動きを動態的にとらえるような実態調査が必要である、ということです。
結果はどこで見られる?
〈もやい〉では、交流事業に参加している方々に協力を依頼し、インタビューや1年間のお金のやりくりの記録を取る調査(ファイナンシャル・ダイアリー調査)に何人かの方が協力してくれました。
この調査は主に日本の大都市部で行われたものですが、これまでに海外で行われた同様の調査との比較なども行われています。詳しい調査結果については社会政策学会(137回)や貧困研究会(第31回定例研究会)、ファイナンシャル・インクルージョン研究会公開勉強会などで公表されているほか、今後論文や書籍としても発表されていくとのことです。ご興味のある方はぜひ小関さんの研究室をご覧ください。
〈もやい〉が近年かかわった調査
〈もやい〉ではこれまでに他団体と協力し、野宿者に対する襲撃についての実態調査を行いました。ほかにも、立命館大学の丸山里美准教授を中心とした研究者チームによる〈もやい〉での生活相談の分析にも協力しました。
〈もやい〉が編集協力した『貧困問題の新地平』が出版されました!(結城翼)2018.2.2
【再掲】野宿者への襲撃の実態に関する調査の概要および要望書【 2014年】2017.2.3