みなさま
〈もやい〉理事長の大西連です。
気がつけばもう年末年始。寒さも厳しくなりました。
本日、12月28日で〈もやい〉は仕事納めです。来年は1月4日から〈もやい〉はスタートします。
年末年始中、〈もやい〉自体はお休みですが、都内各地、また全国のいくつかの地域でも、年末年始の「閉庁(公的機関の休業)」を受けて、さまざまな支援活動がおこなわれます。もやいのメンバーのなかでも各地の活動に参加される方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
〈もやい〉のHPに年末年始の生活に困ったときの相談先リストを掲載しました。
それぞれの団体の活動も支えていただければ幸いです。
2018年は、〈もやい〉にとっても変化の大きい年となりました。
1月には「エキタス」(最低賃金1500円以上を目指す市民団体)と共同で「生活保護基準の引き下げ」に反対する街頭イベントを新宿アルタ前にておこないました。
2月には10年以上ぶりとなる「活動報告会」を開催しました。創設メンバーのお一人でもある湯浅誠さんをお招きし、「〈もやい〉のこれまでとこれから」をテーマに議論しました。会場は140名以上の方が参加し、立ち見も出る盛況となりました。
3月には、〈もやい〉の生活相談のデータ分析を書籍化した『貧困問題の新地平』(丸山里美編・もやい編集協力)の出版記念報告会をおこないました。執筆陣に加え、宮本みちこさん(放送大学副学長)や「ネットカフェ難民」の生みの親であり元日本テレビのディレクターの水島宏明さん(上智大学教授)をお招きし、もやいの相談記録のデータ化や分析の意義について深めることができました。
4月には、昨年中より準備してきた「不動産仲介免許」を無事に取得し、5月より、「住まい結び事業」をスタートしました。これは、これまでの連帯保証人の提供などの「入居支援事業」の枠をこえて、住まいを探すことに困難を抱えた方への取り組み、「住まいの貧困」への取り組みとしてのものです。事業開始から数か月ですが、すでに多くの方の「アパート入居」を実現しています。
6月には、創立17年のパーティーを、そして、厚生労働省に対して「生活保護制度の改善および適正な実施に関する要望」を提出しました。この要望は、16項目46点の多岐にわたるものですが、現在の生活保護の運用のあらためるべき点について提起しました。
残念ながら、生活保護法と生活困窮者自立支援法は、厳しい方向に「改正」されてしまいましたが、これからも現場の声を丁寧に届けることにより、少しでも歯止めをかけられたらと思っています。
8月からは、少しずつですが「コーヒー焙煎」の再開に向けた準備をスタートしました。11月から「サロン」での販売も始めました。新しい「もやいコーヒー」をぜひ堪能してください。
2018年は交流事業でのかかわりの深い方や保証人をお引き受けしている方などで、亡くなってしまう方が多くいらっしゃいました。悲しい別れやみんなで「送る」ということの意味や意義をあらためて感じる機会が多かったです。秋にはこれまでつながりがあった方へ有志による法要もおこないました。
10月や11月は、外部の勉強会や研修会などで、「貧困問題」や「生活困窮者支援」について講演をしたり、恒例の講座をアップデートした「貧困問題実践講座」をおこなうなど発信や啓発に力をいれました。国会等でも外国人の受け入れについての議論が盛んになっており、講師として難民支援協会の石川えりさん、「移住連」の稲葉奈々子さんをお招きしました。外国人への支援は、私たち〈もやい〉にとっても今後より近いものになっていくと思います。
また、10月1日より、生活保護基準の引き下げや、生活保護利用者の後発医薬品(ジェネリック医薬品)の原則義務化などが始まり、相談支援の現場でも、さまざまな政策の変化の影響を受けました。年末にさしかかっても相談に訪れる人は後を絶ちません。私たちの活動の意義と価値、そして、力不足を感じつつも、できることを拡げていきたいと決意をあらたにしています。
このように、いろいろ書いていくと、毎月のようにさまざまなことがあったなと思うのですが、毎年のようにこの時期になって感じるのは一年があっという間だな、ということです。
私たちがこの1年間でやれたこと、やれなかったこと、来年に取り組むべきことなど、〈もやい〉として、また僕個人としても考えていきたいな、と思っています。
2018年、〈もやい〉は多くの方に支えられました。ボランティアで参加してくださったみなさま、相談や交流事業に参加してくれたみなさま、活動のために寄付をしてくれたみなさま、活動をSNS等でシェアしてくださったみなさま、〈もやい〉の活動はみなさまの存在を抜きには考えられません。
2019年も、より活動を拡げ、苦しんでいる多くの人に支援を届け、かつ、社会に対して「日本の貧困問題の社会的解決」をより訴えかけていくことができるように、私たちも身を引き締めて活動を展開していきたいと思っています。
2018年中は、大変お世話になりました。また、2019年も、なにとぞ、よろしくお願いします。
略儀ではありますが、年末の挨拶とさせてください。みなさま、良いお年を!
大西連