認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい

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もやいブログ

2018.12.7

おもやいオンライン

〈もやい〉初の「貧困問題実践講座」を開催しました!#あたらしい結び目

〈もやい〉初の試み

広くたくさんの方に「貧困」という問題を伝え、社会の中に #あたらしい結び目を作るアクションをしている私たちNPO法人もやい。
そのアクションのひとつとして、2014年度から毎年「これだけは知っておきたい!貧困問題 基礎講座」を毎年開催してまいりました。毎年多くの方にご参加いただき好評を得ておりましたが、過去に参加された方から、せっかく得た知識を有効活用してもらえるような実践的な講座を開催したほうが良いのではないかという声をいただいておりました。そこで、今年度は初の試みとなる「貧困問題 実践講座~ソーシャル・アクション編~」を開催することとなりました。

受講された皆さまと一緒に

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今回の実践講座では、基礎講座に参加された方もしくはそれに準ずる知識・経験をお持ちの方に対象を限定させていただきましたが、20名を超える方にご参加いただきました。お越しくださったみなさま、ありがとうございました。
以下、当日の様子と、アンケートの集計結果を紹介させていただきます。

講義の様子:貧困、移住労働者と難民とソーシャル・アクション

今回の講座は11月10日(講義)と11日(フィールドワーク)の2日間にわたるものでした。1日目の前半では〈もやい〉理事長の大西連から、貧困問題をめぐる社会政策の流れと、その中で〈もやい〉を含むさまざまな団体の活動が果たした役割について講義がありました。さまざまな方向性での活動が展開されている今、「ソーシャル・アクション」をするとはどういうことか考えるきっかけとなったのではないかと自負しております。

大西連

大西の講義のあと、厚生労働省の「生活保護世帯出身の大学生等の生活実態の調査・研究等一式報告書」を読み込んで、それをもとに自分たちでどんな政策提言の案を作成するというワークショップを行いました。限られた時間の中でしたが、報告書を批判的に読み解き、要望書の案を自分たちで作成するという初めての経験に充実感を得られたというご感想をいただいています。

真剣に課題へ取り組む受講生の皆さん

午後の講義では移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の活動にも携わっている上智大学の稲葉奈々子教授にご登壇いただきました。現在「外国人材受け入れ制度」が国会で審議されていますが、日本はこれまでも移住労働者を受け入れており、移住労働者をめぐる問題は今に始まったことではなく、また在留外国人の貧困は日本の社会制度の下での構造的に必然の事態であるというお話は、報道だけではわからない問題点に気づかされるものだったと思います。

稲葉奈々子さん

初日最後の難民支援協会の石川えりさんによる講義は、日本における難民の受け入れの推移と難民認定の状況がテーマ。とくに、日本では国際的な水準に照らしてきわめて厳しい認定の基準を設けており、認定される方が非常に少ないこと、申請してから認定までの間の支援が限られており、申請者が過酷な条件での生活を強いられていることなどについて具体的なエピソードを交えてお話いただきました。難民の状況について初めて聞く方にとっても問題意識を持っていただける内容だったのではないかと思います。

石川えりさん

2日目は希望者で台東区から荒川区にまたがって広がる山谷地域(日雇い労働の青空市場であり、現在では生活保護の利用者や野宿者が多く生活している地域)と新宿のフィールドワークを行いました。当日は長距離を歩いたためみなさんお疲れになったことと思いますが、地域の歴史、また1990年代以降の「ホームレス問題」の経緯を知り、地域を見る観点が豊かになったとご好評いただきました。

参加者のみなさまの声

以下、ごく一部ですが、本講座に参加いただいた方からの感想を紹介させていただきたいと思います。

①大西の講義:〈もやい〉とソーシャル・アクション

  • 詳細まで教えてくださるのに明快でわかりやすい講義に感銘を受けました。
  • 日本の貧困の現状からソーシャル・アクションの実例や心構え(当事者が主人公、気づいた人が動く)、基本的な枠組み(「発見」~「社会化」)等をわかりやすく、おもしろく学べた。

②ワークショップ:政策提言をしてみよう

  • データの重要性に気づくことができた。データを丁寧に見ることにより、実態を把握すること、それに対して具体的に解決策を考える事。実践できてよかった。
  • ただ知識をつけるだけでなく、「じゃあどうすればよいか?」を自分の頭で考えるところまでできたのがよかった。意外に政策を考える事って自分にもできるんだ!と思えた。

③稲葉さんの講義:外国人に関する社会政策とソーシャル・アクション

  • 今まで詳しく知ることがなかった在日外国人の方々が置かれている状況を知ることができたため。日本人の貧困以上に見えづらく、知られていないと分かった。アファーマティブ・アクションということも初めて知れた。
  • 貧困視点で外国人問題をとらえる必要性を改めて感じました。

④石川さんの講義:難民に関する社会政策とソーシャル・アクション

  • 日本の難民の受け入れに関する実態がよく分かった。
  • テレビなどの一般的報道聞きかじっているだけでは見えない部分を教えていただきました。新たな興味も生まれました。

⑤山谷と新宿のフィールドワーク

  • やはり、現場を見ることが重要であるということと、現在に至る歴史を知ることができて良かった。
  • この日参加しなければまったく知りもせず興味も持たずにいたであろうことに目を向けさせていただきました。

〈もやい〉では貧困問題を社会的に解決するという目標のため、これからも貧困問題に関する講座を開催したいと考えております。みなさまのご参加お待ちしております。

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