かつてないほどの猛暑となっている今年の夏、暑さで体調が思わしくないという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?そんな中、冷房機器(クーラーなど)の購入のための費用が生活保護制度で新たに支給されるようになるという大きな変化がありました。〈もやい〉にもクーラーについての質問がたくさん寄せられています。そこで、現時点でわかっている範囲でこの新しい仕組みについて紹介したいと思います。
いくらもらえるの?
今回、冷房の購入費用は「一時扶助」という臨時的に支給される保護費のうち、「家具什器費(かぐじゅうきひ)」という名目で支給されます。「家具什器費」自体はこれまでもありましたが、今回、新たに冷房機器の購入費用が含まれるようになりました。
もらえる金額は購入費用として上限5万円、これに加えて設置費用が必要な場合には必要最小限度の額が支給されます。なお、これらは食器などを買うための費用や暖房器具を買うための費用とは別に計算されます。
誰がもらえるの?
今回の変更は、2018年6月27日付で厚生労働省が出した新しい通知によるものです。これは施行日が7月1日とされていますが、実質的には4月1日からさかのぼって適用されます。では誰がもらえるのでしょうか?対象となる条件について順に見ていきます(厚労省の通知はこちら)。
1.従来からある家具什器費の条件
これまでにも家具什器費が支給されるには次のような時に必要な家具什器の持ち合わせがない場合に限られていました。これは冷房器具の場合にも同様です。
- 保護開始時
- 長期入院・入所後に退院・退所した後に新たに入居する時
- 被災して災害救助法第4条の救助が行われず、地方公共団体等による救護だけでは足りないとき
- 転居をした先でこれまで使えていた家具什器が使えない時
- 犯罪や同一世帯の人間から暴力の被害を受けて転居する時
これらのいずれかのタイミングでクーラー等の冷房機器がない場合が1つ目の条件です
2.熱中症予防が必要な人であること
世帯の中で、高齢者や障害児・者、難病患者のほか、健康状態などを勘案して熱中症予防が必要と思われる人が世帯にいることが2つ目の条件となります。
3.以上の条件がそろって初めての夏であること
以上の条件がそろった上で、それ以降「初めて到来する熱中症予防が必要となる時期」にクーラー等がなければ申請することができます。
少しややこしいですが、これらが冷房機器の費用が支給される条件とされています。ただし、実際には各福祉事務所が最終的な判断をしますし、さまざまな事情がありますので、自分の状況がこれに当てはまるかわからない場合は福祉事務所や支援団体に確認してください。いざ申請したいという場合にはケースワーカーにまず相談しましょう。対象となるようでしたら、見積書を取って申請の意思を伝えましょう。
今回の冷房機器の購入費用についての一時扶助は、これまでにはなかった新しい仕組みです。今後、さまざまなケースが実際に出てくるなかで、運用が決まっていくと思われます。もしわからないことや困ったことがあったら、〈もやい〉のような支援団体に相談してみてください。
なお、生活保護制度の利用の仕方全般についてはこちらのシリーズをご覧ください。
【わからないこと、困ったことがある時には〈もやい〉に相談してみよう】
私たち認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいは2001年に設立された団体で、これまで年間3000~4000件の相談を受け、述べ2500件の連帯保証を提供してきました。生活に困ったとき、どうすればいいかわからなかったら、迷わず〈もやい〉に相談してください。相談はもちろん無料です。ご予約も不要です。生活保護申請のお手伝いのほか、安定した住まいをお持ちでない方がアパート等に入居するときには、連帯保証人や緊急連絡先をお引き受けしています。
【面談での相談】(東京都新宿区山吹町362 みどりビル 2F)
火曜:11時~17時
【電話での相談】
火曜:12時~18時 金曜:11時~17時
TEL 03-6265-0137