ボランティアさんとの訪問
7月のある日、私、交流スタッフ田中さん、ボランティアスタッフのKさんは、都内某所のターミナル駅に降り立った。歩くこと十数分。田中さんの道案内を頼りにAさん宅到着。ベルを押す。「はい」。
よかった、いらっしゃった。お会いできるか聞いてみる。ドア越しにお話をすることができた。
「更新に来ていらっしゃらないようですが、最近体調はいかがでしょうか」
「再来週火曜日なら行けると思います」
「そうですか。新しい場所わかりますか」
「わかると思います、おもやい通信(※〈もやい〉が年四回発行している機関誌)に入っていたので」
「じゃあ、お待ちしていますね。さようなら」
このようなやりとりを短く交わす。田中さんとKさんには少し離れて待ってもらった。
それでもその後、Aさんは更新にくると言っていた日にはいらっしゃらなかった。心配だ。
またある日。私とボランティアスタッフのSさんは、都内某所の駅で待ち合わせ。お互いほぼ初対面で少しどきどきしながら打ち合わせ。住宅街を歩いて到着。Bさん宅のベルを押す。ドアを開けてくれた。玄関先でお話する。
「更新なのですがおいでになれますか?」
生活保護の方ではない。更新料・保証料を用意するのは大変だろう。
「行くよ」
笑顔を見せてくれた。その後Bさんは約束どおりきてくれた。
(※以上のエピソードはプライバシーを配慮して事実を若干改変しています)
いわゆる「未更新」について
もやい結びの会の会員さんは約1000人。そのうち、〈もやい〉が連帯保証人を引き受けている人が約600人。
理事長が緊急連絡先を引き受けている人が約400人。それぞれの更新は原則2年に1回。「もやいとの更新」をしに来てもらうことが約束だ。(生活保護の場合保証料8000円は原則福祉から支給される)。
更新は、2年に1回、手続きをするという第一の意味のほか、お会いして、おかわりはないかなど伺い、また、いまの〈もやい〉を見ていただく貴重な機会だ。入院など特別なご事情がある場合は相談のうえ郵便で更新をおこなうこともある。
しかし、中には、おいでにならずなかなか連絡がとれない方もいらっしゃる。そのようときは、場合により訪問し、玄関先でお話させていただくことがある。
未更新のままだと、大家さんとの関係上好ましくないのはもちろんだが、その後も未更新が続いたり、〈もやい〉に来づらくなったりする。雇い止めや病気などで家賃が払えず滞納になって困っていても、相談できずそのままいなくなってしまう、ということもある。〈もやい〉としては、なにも連絡のないまま行方不明になったりされることが一番残念だ。
以前、私がスタッフになったばかりのころ、そういう方がいた。少しでもそうならないために、〈もやい〉との関係性をできるだけかたち作っていきたい。
そう考えている。
先日おこなわれた団体の総会の中で、大西連理事長は
「もやい結びを結びなおしたい」。
そういった。
私も、皆と共に微力ながら、ひとつひとつ「もやい結び」をしたいと思っている。
武笠優子(入居支援事業コーディネーター)