年四回弊団体が発行する活動通信「おもやい通信2016年秋号」発行いたしました。今回はその内容より「フォローアップをはじめました(小林美穂子)」を転載します。
この数年で〈もやい〉に相談に訪れる方々の相談内容に変化が生じました。
2008年のリーマンショック直後は派遣など不安定就労者の「失職」が原因の相談が多かったので、生活保護などの既存の制度につなぐことで問題が解決することが多かったのに対し、近年の相談内容は多様で深刻な問題を複数抱えているために制度につながらない人や、制度につながったとしても問題が解決しない人が急増しました。
〈もやい〉に相談に来られ、生活保護につながりはしたものの、その後どうなっているかは相談者が再び来所されない限りわかりません。生活保護を申請したあとに役所から紹介される宿泊施設の居心地の悪さに耐えられずにまた路上に出てしまう人、あるいはドヤ(簡易旅館)などに何年も留められている人がいるのではないかと考え、この春より生活保護の生活保護申請の同行をした人たちを対象にフォローアップを始めました。
電話をお持ちだった人に限られるうえ、何年か経過していると番号が変わってしまっていたり、応答のない方が多いなか、それでも再びつながる人がいらっしゃいます。その方々の現状などをお聞きしていくうちに、申請時に入所したドヤに3年も足止めされていたり、あるいは集団生活を強いられる環境に適応せずに宿泊所を出てしまい、深刻な難病を抱えているにもかかわらず路上に戻っていたり、何らかの理由で生活保護を辞退し、マンガ喫茶を転々としながらアルバイトを続ける方々にお話しを伺うことができました。
ドヤに3年間も足止めされ、一向にアパート転居を許されなかった方は、すぐに〈もやい〉に再来所してもらいました。「相談には一度しか来ちゃいけないのかと思っていました」とおっしゃるその方のご意志を確認したうえでアパートを探してもらい、スタッフが役所に同行した結果、再来所から1月後にはアパート入居を果たせました。生活保護を申請して3年、ようやくアパート生活を開始した男性は「ドヤの暮らしとは比べものにならないくらいにいい。門限もないから好きなときに出かけられるし、好きなときに風呂もトイレも使える。とても快適です」と声を寄せてくださいました。
今後も、〈もやい〉に来所される方はもちろん、過去に来所された方で今もお困りの方々にこちらからお声かけし、少しでもご本人の希望に沿えるようなお手伝いをできたらと思います。(小林美穂子)