『REPORT』(情報労連リポート)2016年4月号「特集 1人ひとりを大切にする社会へ」に、もやい理事長・大西連が寄稿しました。
貧困問題からみた「一億総活躍」
自己責任論を乗り越え
普遍的な支援のさらなる拡充を生活保護世帯が過去最高を記録している。首相が「一億総活躍」を訴える一方で、足元では生活の基盤が揺らいでいる。インフラとしての社会保障を普遍的なかたちで拡充していくべきだ。
相対的貧困は、その見えづらさゆえに、自己責任とされる風潮が強くあります。例えば、非正規雇用労働者が労働者全体の4割を超えたことは社会問題と認識されても、40代派遣社員・男性が困窮していると聞くと、なぜ正社員にならなかったのかとか、貯金しなかったのかのように、個人の努力の問題にされてしまう。
さらに、「困難さの比べ合い」のような状態があって、「本当に困っている人」だけを支援するべきだとする議論もあります。しかし、困っているか、困っていないかの線引きには感情的な議論が起こりがちで、とりわけ生活保護をめぐる議論にはそうした傾向が強く表れます。
「財源」という言葉はマジックワード。実際は、やると決まればどこからか1兆5000億円もの税金を拠出すると政府は約束できるのです(軽減税率の財源)。
困っているか、いないかにかかわらず、すべての人が対象になる普遍的な支援を増やしていくべきです。(中略)できるだけ選別性を薄めた普遍的な公共サービスをどれだけ増やしていけるかが、これからより重要になると思います。個人や家族の問題とされていることを、どれだけ社会の問題と考えられるかが重要ではないでしょうか。
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