『東京新聞』2015年8月13日に、もやい理事長・大西連のコメントが掲載されました
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<空き家を生かす!!>生活保護受給者への賃貸物件 事前登録で簡単検索
全国の賃貸住宅所有者でつくる公益社団法人・全国賃貸住宅経営者協会連合会(東京都)は十月から、賃貸住宅の空き室を生活保護受給者に貸しやすくするための事前登録制度を始める。所有者が受給者への貸し出しを原則的に認める物件を、インターネットで簡単に検索できるようにして、住宅を探す受給者に便宜を図りながら、空き室の減少を目指す。 (白井康彦)
生活保護の受給者が賃料が安い物件に転居しようとしたり、ホームレスの人が新たに受給して賃貸住宅に新規入居したりする場合、現状では不動産仲介業者が物件所有者に「借りたい人が生活保護受給者だが、貸してもいいか」と一軒ずつ確認している。しかし受給者OKの物件がどれなのか分からないため、何軒も断られ続ける受給者が多い。
生活保護には家賃に当たる住宅扶助が毎月含まれており、所有者からすると「定期収入がある人」と見ることもできる。賃貸住宅の供給過剰などで古い賃貸住宅の空き室が増えていることから、「空き室にしたままより、受給者に貸し出したい」と希望する声が強まっている。
連合会には、全国約四十二万件の空き物件を網羅したデータベースがすでにある。所有者の申し出を受けて、「受給者に原則として貸し出せる物件」という趣旨の項目を新たに付け加え、簡単に検索できるようにする。自治体ケースワーカーらが受給者の家族構成などの事情に合った物件を選び、受給者本人が入居申し込みをする。
連合会が七月中旬から、物件の登録を呼び掛けるパンフレットを作ったところ、自治体や所有者からの問い合わせ、受給者からの空き室紹介の依頼などが約百件に達した。事務局長の稲本昭二さん(54)は「高齢の受給者から感謝の声が寄せられています」と顔をほころばせる。
ただし生活保護受給者の場合、家賃滞納や、保証人や緊急連絡先を確保できないことが貸し出しのリスクとなっている。連合会は▽自治体が所有者に家賃を直接支払う「代理納付」を認めている自治体が多い▽保証人や緊急連絡先の代行サービスを活用できる▽孤独死を防ぐ安否確認サービスや孤独死に備える補償保険がある-などを所有者に知らせ、空き室減少に結びつけたいとしている。
生活困窮者が生活保護を受給できるように支援してきたNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都)によると、七月から住宅扶助基準の切り下げが実施され、生活保護受給者の住宅探しはさらに難しくなっているという。理事長の大西連さん(28)は「賃貸住宅業界から対策が打ち出されたことは歓迎したい」と話す。
愛知県の賃貸住宅所有者などでつくる公益社団法人愛知共同住宅協会(名古屋市)は、受給者らのアパート探しの手伝いもしている。理事を務める弁護士の杉本みさ紀さん(49)は「生活困窮者の相談を受ける自治体担当者などからも、アパート探しの支援要請がある。簡単に検索できれば、素早い支援に結びつけられるのでは」としている。