本日、厚労省が最新の 被保護者調査(概数)を公表しました。生活保護利用者が過去最多を更新したことを受け、報道もされています。
NHKニュース:生活保護の受給162万世帯余 過去最多
47NEWS(よんななニュース):生活保護受給者が最多更新 3月、世帯数も過去最多
生活保護利用者に関しては、統計法に基づき、毎月、被保護者調査というものがおこなわれています。それが月のはじめに公表されるため、毎月のように上記のような記事が報道されるわけです。
厚労省のデータを見ると、2015年3月時点で、生活保護利用者は217万4331人。しかし、世帯類型別にみると、「高齢世帯」が48.7%、「傷病・障害世帯」が27.6%、「母子世帯」が6.5%、「その他世帯」が17.1%と、高齢世帯が全体の約半分なのです。
また、2年前のデータと今回発表されたデータを比べる(2013年3月と2015年3月を比較)と、「高齢世帯」は82,134世帯増、「傷病・障害世帯」は21,381世帯減、「母子世帯」は6,334世帯減、「その他世帯」は11,671世帯減。
そう、この2年間を見ると、「高齢世帯」しか増えていないのです。そして、「傷病・障害世帯」、「母子世帯」、「その他世帯」はいずれも減少しており、「高齢世帯」の圧倒的な伸びが全体の生活保護利用者数増につながっています。
いわゆる稼働年齢層と呼ばれる「その他世帯」の人たちも近年は減少しています。「その他世帯」や「母子世帯」は経済状況の影響を受けて増減します。しかし、「高齢世帯」に関しては、経済状況の影響を受けにくいのも事実です。
高齢の人が生活保護を利用すると言うことは、
・年金が少ない(ない)
・資産がない(使い果たした)
・援助してくれる家族や親族がいない(いても扶養能力がないなど
という状況に置かれているということであり、年齢的に働くことも難しいため、生活保護から脱却することは難しいのです。
そして、この2年間で約8万世帯も増えている「高齢世帯」ですが、高齢化の影響を受けて、今後しばらくは増え続けるだろうと言われています。
つまり、毎月のように「生活保護利用者過去最多」の報道がなされるわけです。
低所得高齢者への生活保障の仕組みを考えないと、生活保護利用者は増え続けます。就労支援の強化も重要なアプローチですが、低年金・無年金の高齢者への支援も大きな課題と言えます。
(大西連)